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音楽を曖昧に話す
※note(SNS)掲載分を、当サイト掲載向けに加筆修正したものになります。
これを書いている人間はボカロP(広義)です。
もともと絵描きを名乗っており、音楽はときどき触る程度でした。が、絵の活動場所をSNSからオフライン展示に移行した結果、WEB活動が殆ど音楽だけになってしまったため、今ではそう名乗る機会が増えてしまいました。しかしながら音楽家ではありません。
以下、権兵衛るのたいへん雑な音楽歴の話をします。要約すると「楽器を弾けない、歌を知らない、音楽に青春を捧げていない」のような話ですが、そこから現在の音楽活動に関わりそうな部分を述べています。
何の参考にもならないと思うので、何も期待せずにお読みください。
■ピアノ教室編
理論…?の話
幼稚園~小学校低学年まで5年ほど通っており、全然弾けず諦めました。右手・左手で同時に違う動きが出来なかった、とかその次元です。今も全く弾けないので当然DTM用キーボード等も持っておらず、マウスでノートをポチポチしながら作曲をしています。
しかしながら、ピアノ時代に受けた教育が全て無駄だったということはなく、むしろ演奏以外の全てが今の作曲活動に役立っています。調とか、拍子とか、トニック/ドミナントとか、最低限これ知っとけば作れんことはない程度の基礎知識をここで得ていたからです。
※実際には幼児向けに「難しい用語を省いた形」で教わることが多かったため、この時点ではなんとなく音楽に規則性があることを教わっているが、その名前は知らないということがほとんどでした。それら一つ一つに名前がある事を知ったのは大学生の頃(後述)です。
理論…?の話
音感の訓練もこの時が最初でした。
ピアノに背を向けるように立たされて、先生の押さえた音がどの鍵盤かを答えるというもの。何か名前がある方法だとは思うのですがよく知りません。実際うまくやれていたかどうかは分かりませんが、この訓練に特別嫌な思い出はありません。「弾けなかった」ことに関してはむっちゃ怒られたという記憶が鮮明にあるので、記憶にないという事は問題なかったのだろうと思います(そう思いたい)。
尚、こうした訓練を行なったのは本当にこの時期が最初で最後だったため、今おなじ事をやれる自信は全然ありません。なので作曲に役立っているかどうかは不明です。
■義務教育編
楽器経験…?
ピアノ教室を辞めて以来、私の楽器経験は義務教育の範疇に限られました。自分に音楽の才能は無い!という諦めの境地です。ところが地元の学校ではある学年に限り、音楽の授業を通して地域のブラスバンドに参加する行事が存在しました。故にその一年間だけ何故かトランペットを経験しています。この時に「ちょっと珍しい楽器を触った経験」として、音楽に対する自信度がマイナスからゼロにアップしました。部活でもない限り、誰もが義務教育で触れる楽器ではないと思うので…
なお、後にも先にも楽器経験らしきものは本当にこの1年間くらいだと思います。今はたぶん吹けません、触る機会すらそうそうありませんし…。
■インターネット編
DTMの入り口「MIDI」文化
こみ入った話は省きますが、初音ミクが生まれる前のインターネットにはそういう音楽の文化がありました。既存の楽曲を耳コピ再現したものを公開するとか、「RPGツクール」などで使える音楽素材としてデータを配布するとか、大体そんな感じです。
私は平成1桁生まれにも関わらず成人するまでCDを買うことがなかったくらい、世に出回る音楽に関心を示したことはほぼありませんでした。が、ここで出会える音楽には不思議と惹かれたものです。今では当たり前のことですが、「誰でも作曲に挑戦できて、音楽を発表できる」「演奏経験が無くても一人でいろんな楽器を鳴らすことのできる技術」なんて夢がありますよね。いつしかMIDIサイトのブックマークは20件程に上り、新曲を楽しみに日々巡回していたのを思い出します。
最初にMIDI制作に触れたのは小学校くらいだったと思います。よく聞いていた音楽の制作者が自分よりたった一つ年上と知り、対抗心を燃やしつつ初めてDominoに手を出したことを覚えています。ツールを起動しては「なんだこれ、わからん!」からの放置。忘れた頃に起動しては、また「わからん!」と、放置。そんなアホなことを繰り返しながら亀の歩みで覚えつつ、ファミコンソフト「MOTHER」のタイトル画面を耳コピしたのはいい思い出です。
初音ミクの爆誕
語りだすと長くなるのでこちらも省略しますが、初音ミクを初めて知ったのも先述のMIDI文化経由だったと記憶しています。
今では当たり前のことですが、「誰でも作曲に挑戦できて、音楽を発表できる」「演奏経験が無くても一人でいろんな楽器を鳴らすことのできる技術」なんて夢がありますよね。
なんて言ってましたがついに機械が歌い出してしまいました。その後ほかにも様々なキャラクターがいると知り(具体的にはMEIKO、KAITOのこと)、色々あってボカロを使い始めるようになりましたが、その主な経緯はDominoとほぼ変わらないので割愛します。憧れのPが自分より一つ年上と知り、対抗心を燃やしながら手を出しました(本当に)。
ただボカロの場合、基本的な使い方はDominoとほぼ変わらなかったのでそれほど習得に困難はありませんでした。あの「なんだこれ、わからん!」が割かし報われたっぽくて(?)よかったなと思います。
■大学編
理論の話、再び
絵の学校にいた頃、このままでは単位が卒業に満たないのではと他学科の講義をいくつか履修した年がありました。そのうちの一つが音楽学科の科目で、1年かけて楽典の初歩的な知識を学ぶ講義でした。ここで、全く弾けなかったピアノ教室時代に聞いたそれと大体同じ話をもう一度聞くことになります。
あの頃少しだけ教わった音楽にまつわるアレコレが実は理論だったらしい、そしてそれぞれ正式名称があったらしいことを知ったのはこの時でした。
流石に大学の講義ともあって、途中でついていくことが難しくなってしまったのですが、ピアノ教室の項目でも触れた通り、ここで聴いた話は今でも色々役に立っています。(一応、無事卒業はできました。)
■「音楽は素人です」と騙り続けた話
以上、なけなしの音楽歴でした。
そして以下、余談です。
ボカロPとして自身の作品について話すときは、とりあえず「素人が趣味道楽で作った音楽」と説明することが多いです。「ここまで述べてきたような状況を一言で表すならそういう事だろう」という素朴な感覚から生じた表現でしたが、事実と比して齟齬のない表現とも言い切れないのが悩ましい点です。
楽器を弾けない
歌を知らない、
音楽に青春を捧げていない
この意味では実際素人である一方、先述のような経歴を踏まえた上で自身を「音楽に対してまったくの無知・未経験」であるかのように称するのは、その通りのようでいて何か違う気がしないでもないです。「未経験でこんな曲が作れるんですか!」みたいに言われた日には上手く言えませんが2週目の人生で小学校の全教科を無双してしまったような恥ずかしさをむちゃくちゃ感じます。でも実際、バンド経験等も無ければ音楽の文化に全然馴染みがないんです。この状況をどう説明すれば伝わるのかがわからない。
「パンクです」「オルタナです」のようにこの精神を一言で表すならば、これは何と表現するのが正しいのか。未だに答えらしきものが掴めずにいるのですが、現状サブスク配信先のストアではこんな風に表現することにしています。
デジタルネイティヴ第一世代として個性派インディー・ミュージックを繰り出す。
今後どんな音楽をやろうとも揺るがないであろう事実だけで構成された肩書き(?)です。生まれた時代は変えられないし、プロではないし、現状「普通の曲」を作れるような技量は自分にないです。そういう感じでやって参ります、よろしくお願いします。