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とある善人の命日

僕は 花束売り
涙と引き換えに 花を売る
悲しみと 弔いの
色彩が 町に染む

そんな花屋を辞め
何者でさえない この僕は
いまだ 不幸を売り続ける
死神の顔だという

生きるために 魂を
売り歩くこの 罪の人は
道ゆく人々全てを
残酷な神へと変えてゆく

ただ、生きているだけで
どうしてこんなに磨り減るの?
世のため 人のために
生まれて来たわけでも無いのに

ただ生きているだけで
世界が蝕まれるなら
せめて それでも良いと思える
悪魔になりたい


僕は一人 町をゆく
心と引き換えに パンを買う
踏まれ、摘まれる
町の花は
明日、灰になる


ただ 生きているだけで
どうしてこんなに磨り減るの?
世のため 人のために
生きていたことなど無いのに

ただ 生きているだけで
世界が削れてゆくなら
せめて全てを 貪り尽くす
怪物になる


ただ 生きているだけで
どうしてこんなに磨り減るの?
世のため 人のために
生まれて来たわけでも無いのに

ただ 生きているだけを
幸せに思えというなら
せめてそれでもいいと
私に その花を

手向けよ




作詞/作曲:権兵衛る