小石が金貨になれないように、
金貨も鋼になれはしない。
浴槽に満ちる
水面に映る姿形―、
鏡よりも正しく。
かの偉人は語る、
万物は毒物であると。
何よりもありふれた
猛毒の名を告げもせず―、
己の姿形を知りたくて、
浴槽に身を
委ねたのでしょう。
王者と名の付く劇物に
融け遺る淡い雄弁―、
溶けてしまえ、
消えてしまえ、
忘れてしまえ、
それでも癒えずに
遺る平熱を―、
誰の所為にも
できなくて、
ただ醒めやらぬ
―夢の中。
何よりも、ありふれた猛毒
「いま、キミも退屈かい?」
渦を巻いて
吸い込まれる―顛末。
その輝きも等しく、水の泡―、
溶けてしまえ、
消えてしまえ、
忘れてしまえ、
それでも
消えずに遺る明滅を―、
誰の所為にも出来ないね。
さあ、冷め切った水底へ―、