頼むよ、笑わず聞いてくれ。
土台無理な頼みじゃないだろ?
こんな姿で此処にいるのにも
それなりの訳が―、
嗚呼ああ
行っちまうのかい。
…止めやしないさ
きっと、これは報いだろう
懺悔してもし、足りやしない程
きっと、何かやらかしたんだろう?
だが、そうと分かっていながら、
懲りずに息をする―、
後悔などないように。
笑えよ、わらえよ、
俺は このとおり手も足もでやしない
冷ややかな眼差しで 己が
いま、ここに在ると
確かめてるのさ。
わらえる、
わらえる。
見える景色も逆さのまま。
天にも昇る心地だと
また、星空を見下ろしてしまう―
―夜。
夢をみる
この鎖が解かれ
自由に動きまわる
足が、遠のく―。
※1
誰もが自分を偽るこの時代に
誰もが想い焦がれる
普通、平凡、
それをどうして僕らは
選べないのだろう?
人が仮面で顔を覆うのは―、
「その痛み、苦しみに他人事でいたい―」
―ちがうの?
※2
何度、日が落ちて また昇り
なお、此処から
逃れずにいるのは、
人混みにも沈めぬほどに―、
この、生命が、軽いことを―
―知ってしまいそうで。
笑えよ、わらえよ。
俺は このとおり
手も足もでやしない。
痛々しい眼差しが 穿つ
頭ん中の音垂れ流しつづけ―、
笑えよ、わらえよ。
俺は このとおり
手も足もでやしない。
冷ややかな眼差しで 己が、
いま、ここに在ると
知るしかないのさ―、
わらえる。
わらえる。
見える景色も
逆さのまま。
天にも昇る心地だと、
見渡す限り
空を見下ろして―、
ああ、夜が明ける。
この鎖が解かれ
自由に動きまわる、
もう一人の自分が
ああ、
どこか遠くへ
消えてゆく。